トゥールビヨン キャリッジの切削

数々のカイゼンの結果、トゥールビヨンの柱部分の加工精度が上がった(マシになった)ので、時計づくりを再開する。

こんな感じで加工パスの定義。
荒削りと仕上げ削りの2種類の定義が必要で、頭がこんがらがる。

無事完成。3回失敗して4度目の完成。

柱部分もキレイにできた。(ピンボケですみません。)
某氏の初期型キャリッジに酷似しているが・・・とりあえず模倣から入ろうと思う。

今回いろいろな加工精度のカイゼンを行ったが、一番効果のあったのは加工パスのカイゼンだと思う。
加工の順番、工具のXYおよびZの移動速度、パス深さ、粗削りと仕上げ加工のパスの公差など、考慮すべきことはたくさんある。しかしネットには、これが正しいという正解は無い。
最適値を求めるには、失敗して試行錯誤するしかないのだ。

トゥールビヨンの柱部分の加工テスト

トゥールビヨンの柱部分をCNCで切削すると、上にいくほど細く加工され、円もキレイにできない。
これを改善しないと美しい部品はつくれない。
まずは加工のテストをしてみる。

捨て板は真鍮板とし、あらかじめフライスでさらって平面出しをする。シマシマに見えるが指で触るとツルツルしている。

材料(ワーク)はジュラルミンA2017。
材料の固定は両面テープをやめ、先ほどの真鍮板に瞬間接着剤でがっちり固定する。
バイスが無いので、裏蓋を閉める道具で固定。

加工してみた。
エンドミルは大きめの4mmを使用。エンドミルは太い方が振動が少ないので正確な加工ができる。
(少し前まで、細い方が正確な加工ができると勘違いしていた・・・)
加工速度は、F400からF100に下げた。
荒削りは設計より0.2mm大きくし、仕上げで削りで設計通りの切削をし、最後にゼロカットする。

うーーんイマイチ。
丸の形状は比較的キレイにできたが。
柱の細い部分は設計値 1.20ファイなのに、0.94ファイしかない。
柱の太い部分は設計値 1.50ファイなのに、1.22ファイしかない。
つまり、設計値より0.26mm~0.28mmも小さく加工される。

前から、ポケット加工、島加工すると、島の部分は設計値より小さく、外周部分は設計値より大きく加工されていた。
材料の固定方法を変えてもあまり改善されない。

原因はだいたい分かっている。
それはスピンドルの振れだ!
既に、ヤフオクでデジタル ダイヤルゲージは購入している。

カイゼン4 製作方法のカイゼン

トゥールビヨンのテンプ、アンクル、ガンギの入る穴石は、上下がぴったりと合っていないと時計は動かない。
また、穴石が入る穴の間の距離も、かなりの精度が要求される。
極論を言うと、各穴の距離さえ合っていれば、他はダメダメでも時計は動く。ちなみに縦距離(アガキ)も重要だが穴石の移動で調整可能なのである程度融通が利く。
つまり、穴石間の距離は、最も重要な要素なのだ。

最初は上下の穴を個別にCNCの切削で開けていたが、まったく上下が合わなかった。

少しカイゼンし、アンクル、ガンギの穴は、片方の穴はCNC切削中で開け、もう片方の穴は、部品を組み立てた状態で、開いた方の穴をアンナイにボール盤で穴を開けていた。
また、テンプの穴石の入る穴は、時計旋盤にキャリッジを固定し、かなり強引な方法で穴を開けていた。
これで上下のズレはカイゼンされたが、それでも穴石間の距離は計通りにならない。

キャリッジに最下部のパーツをジグに接着剤でがっちり固定して加工する。加工後、そのパーツは外さない状態で、キャリッジの組み立てをし、CNCを手動送りして穴をあける。
まず下穴を開け、CNCのXYは一切動かさず、Zだけ動かし、部品を組み立て後に上穴を開ければ、上下は完全に一致するはずだ。

ほとんど全てのカイゼンは、先日ご紹介した浅岡氏のSNSから得た情報である。
本場スイス人でさえ、こんな詳しい情報を公開している人はいない。日本人に生まれてヨカッター。

カイゼン3 設計のカイゼン

トゥールビヨンキャリッジの設計は、ネットの情報をもとにオリジナルで設計していたが、設計を大幅に見直す。

今までの設計は、精度より加工しやすさを優先していた。
CNCの加工部分は、0.6mm厚の板だけで済ませ、立体的なでっぱり部分は時計旋盤で別途加工して圧入していた。
当然CNCの加工は片面加工のみ。
しかし、これでは十分な精度が出ない。

片持ちのフライングトゥールビヨンはやめて、両持ちにする。
これは精度ではなく見た目のカイゼン。フライングトゥールビヨンは中華ビヨンっぽいイメージがあるので(笑)

キャリッジの柱部分などのでっぱりは、CNCで一体で切削する。
最下部の部品は、両面加工に挑戦する。そのためのジグも設計する。

設計は相変わらず2次元CADですが・・・

カイゼン2 加工パスのカイゼン

フライス加工する際、荒削り→仕上げ削りをするのが一般的だ。
そんな超基本的なことも知らず、ほとんど荒削りだけで加工していた。
一応、フライス盤に関する書籍を1冊斜め読みしていたが、全く頭に入っていなかったようだ(爆)

荒削り段階では、材料とエンドミルの両方に大きな負荷がかかり、材料は削られるのイヤイヤと歪み、エンドミルは削るのイヤイヤと歪む(爆)
だから設計通りの加工できないのだ。
ほとんど負荷のかからない状態で、仕上げ削りを行えば、正しく加工できる。
最後にゼロカット(削りシロゼロ)を行う。
ゼロカットは、意味が無いように思えるが、仕上げ加工でも、両者の歪みは若干あるので、それを是正するために必要なのだ。

以前、キャリッジの柱部分が上にいくほど細く加工される問題をこのブログで書いたが、これも加工パスを見直すことでカイゼンされるはずだ。
荒削り→仕上げ削りを繰り返しながら掘り進めることで、細くなる問題が解決できる。

何千万円もする強固なマシニングセンターでも、エンドミルと材料の剛性は、私の15万円のCNCと同じなので、きっと同じ問題が発生するだろう。
そう考えると、マシニングセンターさえあれば、精密加工はカンタンというわけではなさそうだ。
むしろ、加工パスを自動生成するソフトウェアで優劣が出るだろう。
つまり、それくらい加工パスは重要だと言うことだ。

ちなみにこれはカイゼン前の加工パス。

カイゼン1 ワーク(材料)の固定方法のカイゼン

今までは、材料(ワーク)の固定は、捨て板となるPOM板の上に両面テープで固定していた。
さらに、ベースの捨て板(POM板)も、テーブルの上に両面テープで固定していた。
また、材料はチップソーで切断するのが大変なので、大きいまま使っていた。
こんな感じ

CNCの加工精度を低下させる原因の1つとして、材料の振動があることが分かった。
POM板や両面テープは、やわらかい素材なので、材料の振動が大きいだろう。
言わば、座布団の上に材料を乗せて加工しているようなものだ。
また、材料を大きいまま使うのも、振動を増幅させているように思う。

カイゼン策として、捨て板は、POM板をやめて、真鍮板とする。テーブルへの固定は両面テープではなくネジでしっかり固定する。
また、捨て板と材料の接着は、両面テープをやめて、瞬間接着剤で固定する。瞬間接着剤は、ロックタイト金属用とし、接着時はバイスで強く圧迫する。材料は大きいまま使わず、ちゃんと切断する。

これは加工精度とは関係無いのだが、キャリッジの材料は、真鍮をやめてジュラルミン(A2017)にする。
日本人としては、超々ジュラルミン(A7075)を使いたいところだが、薄い板は売っていないようなので、今回は見送った。

とりあえず、いろいろ準備は進めている。

WEBクロノス

私が勝手に師と仰いでいる浅岡肇さんの初期のSNSを発見した。
webChronosのSNSにあり、会員登録しないと見られないサイトなので、いままで発見できなかったのだ。
会員登録は無料なのでぜひ。

今まで彼のfacebookや、メディアの記事、書籍ジャパンメイドトゥールビヨンなどを読み漁っていたが、時計製作のノウハウに関しては、いずれも断片的な情報であり、時計製作がイチから分かるものでは無かった。

webChronosのSNSにある彼の投稿は、かなり詳細にイチからトゥールビヨンの製作方法が記録されており、私にとっては国宝級に値する情報だ。
最初の投稿は2008年。今から約10年前だ。今の私の年齢に近く、子供のこととか親近感のわく投稿もある。

2週間くらい前に発見し、毎日の通勤電車の中で読むことが日課になっている。
目からウロコが落ちまくりで、改めてすごい人だと思った。
ここで得た情報をもとに、製作方法を大幅に見直したいと思う。

久しぶりに時計づくりを再開した

久しぶりに時計づくりを再開した。
なぜ時計づくりを休んでいたかというと、金欠で時計修理に時間をとったことと、時計作りのモチベーションが続かなかったからだ。
時間をかけて部品をつくったのに、それが失敗作となると、モチベーションが続かないのだ。

今回は設計を大幅に見直した。
ユニタスに収まるよう、トゥールビヨン・キャリッジのサイズを小さくした。
また、前回の設計ではトゥールビヨン・キャリッジの柱部分は、時計旋盤を使って別途作成していたが、今回は一体型にした。
一番の理由は、浅岡さんの設計がそうなっていたからだが・・・他の理由として、柱を圧入するときの精度にばらつきが出るので、それを解消したいのと、製作時間の短縮である。
時計旋盤で1/100mmの精度で柱を3本作って圧入するのに、なんだかんだで3時間くらいはかかる。
で、それが失敗作になると、モチベーションは一気に下がるのだ。
CNCの切削でも1時間半くらいかかるが、切削中は、ひと眠りしたり、ヤフオクで時計を探したり(笑)自由にできるので、その差は歴然である。

で、つくったのはこちら。
上部の柱が大きいのはウェイト(重し)を意識している。

今回の加工で、改めて認識したのは、CNCの加工精度だ。
円柱が上にいくほど細くなっている。
また、柱の先の細くなっている部分の小さい丸が完全な丸にならない。
原因は不明である。エンドミルをロングタイプに変えてみたが、改善されない。
現在は1mmのエンドミルで仕上げ加工をしているが、さらに細いものに変えたり、切削速度を下げたりすると改善されるかもしれない。

とりあえず、上にいくほど柱が細くなっても問題ない設計に変更した。切削はまだしていない。

Autodesk Fusion 360

トゥールビヨンの設計は2次元CADでやっている。理由は3次元CADは難しそうだから。

少し時間があったので、Autodesk Fusion 360に挑戦してみた。
Autodesk Fusion 360は、AutoCADで有名なオートデスク社の3次元CADソフトで、ホビーユースなら無料で使えるという、神みたいなソフトだ。マジ神(爆)

3年くらい前の安物パソコンなので、ソフトの起動に5分くらいかかる。一度起動したらそんなに遅くない。
操作は視覚的で、説明書を読まなくてもだいたいの操作は分かる。分からないところだけ、ネットで調べればなんとかなる。
図面はクラウドに保存されるようだ。

で、作図したのがこちら。3次元CADの初心者でも、1日弱でここまで描ける。
ただし、テンプやガンギなど部品は、ユニタスの3次元データがあるので、それを利用している。(このユニタスのデータ。寸法は正確ではないと思うが、使えなくはない。)

3次元CADは難しくない。
しかし、製作→設計ミス発見→図面修正→切削データ作成 を、ぱっとできるのは、使い慣れた2次元CADの方だ。
やっぱり2次元CADがいいや(笑)

トゥールビヨン キャリッジの組み立て(2回目)-1

キャリッジ2回目、いい感じだと思ったが・・・固定した4番車とガンギ車との間隔が大きすぎた。
他にも細かい設計ミスがあったので、新たにキャリッジをつくりなおす。
主要部品はCNCで切削できるので、電子レンジでチン感覚ですぐに部品がつくれる。
シンプルな切削なので、2つの部品の切削時間は20分程度だ。
時計旋盤でつくる部品は、デジタルゲージの効果で、簡単に1/100の精度でつくれる。
さて、今度はうまくいくだろうか。

この写真は失敗作