次のステップ

時計制作、次のステップに進む。
順番としては香箱受けあたりをつくるのが筋だと思うがいきなり飛躍する。
トゥールビヨンをつくってみようと思う。
ユニタスの輪列をベースに、地板と受けを自作し、オリジナルムーブメントをつくろうかとも考えたが、なんかワクワクしない。
無謀だと思うが、とにかくやってみる。

ズレた原因

1度目の製作は3番車の位置のズレでNGとなったが、ズレた原因を調べようと思う。
設計ミスなのか、あるいは加工精度の問題なのか。
計測は、投影機を使えばいいのだが、すごくでかそうなので買っても置くところが無い。
そこでスキャナーを使うことにした。
家庭用の普通のスキャナーだが、高解像度ですごくキレイに取り込める。知らなかった。

スキャンした画像をCADに取り込み、寸法を計測してみる。
左から、CADの設計図、今回作成した部品、見本となる元の部品である。

うん、だいたい設計通りできている気がする。
見本と比べると、目視レベルで3番車の位置がズレているのが分かる。
一方で、少し歯車が斜めになったアンクルの位置を見ると、百分の一レベルで見本と同じだ。
うーんよくわからない。
つまり、見本通り設計しても、穴はずれるということか。
やはり現物合わせで、地板と受けを一発で加工するのがよさそうだ。

なぜ自分で時計を作りたいと思ったのか

なぜ自分で時計を作りたいと思ったのか。
理由は、自分が欲しいと思える時計は高くて買えないから。
市販されている時計に、不満があるから自分でつくるわけではない。
もし好きなだけ時計が買える財力があれば、そんな欲求は生まれてこなかっただろう。

小学生のころ、バス釣り用のルアーを手作りしたのも同じ理由からだ。
ヘドンやラパラといった海外製のルアーの価格は、おこづかいの1カ月分に相当したのでとても手が出なかった。
幸い自宅には、端材、ニス、アルミ箔、針がね等、ルアーを作る材料があったので、コストをほとんどかけず、海外製ルアーの模倣品をつくることができた。

同じく小学生のころ、勉強しなくなるという理由で、ファミコンは買ってもらえなかった。どっちみち勉強しなかったが(笑)
お年玉をためてパソコンを買ったが、それで全財産を使い果たしたので、ゲームは買えなかった。
それでもゲームをしたかったので、パソコン雑誌を買って、自分でゲームを作った。
このときの経験が今の仕事に(多少は)活かされていると思う。

時計修理の技能を身に付けたのも、時計の修理代金がもったいないから。
某R社のバルジュー72の時計を日常的に使用していたが、だいたい2年に1回おかしくなった。
巻真抜け、角穴車の破損、ゼンマイ切れ、ネジ込み竜頭の空回り・・・など。
修理の度に5万円ほどの出費は必要だったので、これなら自分でやろうとなった。

お金が無いけど欲しいという欲求は、創造力を生むための必要な原動力である。
改めて、子供に何でも買って与えるのはやめようと思った。

組み立てる

外周の薄皮は、アルミ箔レベルの薄さなので、ヤスリで簡単に除去できる。
なぜかピンが設計より細い。

表面のネジ穴をボール盤でザグリ加工する。
本来ならCNCで両面加工すべきだが、それはまたの機会ということで・・・。

穴石を入れる。
穴のサイズは、石のサイズより0.02mm小さくしたが、穴が大きすぎて石が留まらない。
0.1mmくらい小さくした方がよさそうだ。
穴締めタガネで穴を小さくすることで、なんとか穴石を固定できた。

ニッパーで切断。

ヤスリでタブ部分を除去する。

地板に装着してみる。ピンとネジ穴の位置はよさそうだ。

歯車を入れてみる・・・ダメだ。
3番車の穴位置がかなりずれている。1mmくらいずれているかも。設計ミスか?
ガンギ車も少し斜めになっている。
穴石の位置は、地板を現物合わせし、ドリルで穴をあける方が良いのかもしれない。

1回目の試作は失敗に終わったが、引き続き挑戦したいと思う。

CNCで時計の部品を切削

CNCで時計の部品を切削した。

削り始め。2mmのエンドミルを使用。

それっぽい形になってきた。

1mmのエンドミルに交換して穴をあける。

削り終えたところ。

CNCから外したところ。
固定は両面テープを使っている。
エンドミルに両面テープがつくと良くないので、0.02mmの薄皮を残して切削している。

初めての本格的な切削だった。
0.05mm単位で切削するため、こんな小さな部品でも2時間くらいかかる。
両面テープの固定に不安はあったが全く問題無い。
ぱっと見た感じ、ちゃんとできてそうだが、はたして使える部品になったのだろうか・・・
ステッピングモーターの冷却はばっちりで、一番熱くなるZ軸でもお風呂の温度くらいまでしか上がらなかった。

ステッピングモーターの冷却-2

ステッピングモーターの冷却にCPU用のヒートシンクを使っていたが、見た目がイマイチだった。
Yahooショッピングに良さげなモノがあったので購入した。
モーターへの接着は3M 熱伝導性両面テープを使用。粘着力が強くいい感じだ。

3M 熱伝導性両面テープ

見た目もいい感じになった。オレンジ色がかっこいい!
ただし効果は未確認。

メイド トゥールビヨン-超高級機械式腕時計に挑んだ日本のモノづくり

日本人で、極めて完成度の高いオンリーワンのトゥールビヨンを制作した、浅岡 肇氏の時計づくりを紹介した書籍。
浅岡氏は、独学で時計づくりを習得し、3D CADや自作のCNCを駆使して魅力的な時計を制作している。
ほんとスゴイなぁと思うし、あこがれの存在である。
私はまだ時計作りの入口に入った程度なので足元にも及ばないが、浅岡氏をロールモデルにして時計づくりを進めたいと思う。

Cut2D

Cut2DというCAMソフトを試した。
まずは体験版が無料で使えるのでそれをためした。
体験版は、Gコードが出力されない以外は、製品版と同じ機能である。
G-Simpleしか知らなかったので、使い勝手の良さに感動してしまった。
タブ付の切り抜きが簡単にできる。
ツールパスがちゃんと渦巻き状になる。
Z軸を最初におろす時、負荷がかかるのだが、それを軽減するよう、ゆらゆらしながらZ軸をおろす機能まである。
18,800円の出費はきついが、オリジナルマインドでぽちっと購入しましたよと。